「書きかけの歳時記」
2008/02版 その1

(since '05.04.25)

この日記は不定期に更新されます。なんにせよ、大したことは書かれないはずですが。

取扱上の注意

間違って検索サイトから来られた方へ(よくある検索 pattern)

アンテナ管理者の方へ


[前日へ続く]

2008/02/01 (金)


2008/02/02 (土)


2008/02/03 (日) <しばらく>

外はと言えば [日常]

雪、積もってるよ? (__; 出掛ける用事を昨日のうちに済ませておいてよかった‥‥‥。


てゆーか [日常]

気がついたらもう 2 月。ことしも残すところあと 11 ヶ月ですよ。どーゆーことだ。


前回からのあらすじ [日常 / 日記]

ここしばらくの出来事を headline で。

それぞれそれなりにネタは発生しているので、そのうち日記を補完するかもしないかも。


SD/MMC driver その後 [FreeBSD / X60s]

そういえば、せっかく環境を提供してもらったのに、放置してしまっていた‥‥‥ m(__)m

海外方面で「7 系列で driver が build できないんだけど」とゆーよーな声があったようなので、昨年秋の CBUG meating meeting で相談をして、うめさんに -current な machine への login 環境を提供していただいた m(__)m。で、一応モソモソと作業。ただ、その machine には SD/MMC slot がついていないので、compile はできるんだけど、動作するかどうかは未確認。

そんなわけで、成果物はこちら。10 月末時点でのものなだけど、11 月末くらいに compile した時点では build できていたよーな。あと、6.3-RELEASE-RC1 か何かで使った実績もあり。ただ、その後 6.3-RELEASE も出たし、7 系列も PRERELEASE になってたりするので、近々時間を取って試してみたいところではある。

環境を用意してもらってから announce まで期間があったのには一応いいわけがあって (__;、今の code では「一応叩いてるけどなんか不完全」になっている I/F の reset 処理をせっかくだから fix しようと思っていろいろ試していた。結果としては「I/F に reset をちゃんとかけようとしてもその終了待ちが timeout になり、その後割り込みが入った瞬間に刺さる」という現象が解決できず、結局元の状態に。しくしくしく。TI の controller で動かないという件もそのあたりが関係しているような気がしてはいるんだけど‥‥‥。

TI の controller の件に関しては、以前に warner さんが「こちらで試せることがあったらなんでも言ってー」と言ってくれているのだが、どこをどうしたらいいかはっきりと判っていない状況では、やっぱり手元に実機が欲しいところ。5〜6 万くらいで手に入れば、買ってもいいんだけどなぁ‥‥‥。もっとも、どのみちここ数ヵ月はそんな余裕ないけど。


〔銀河〕〔はやぶさ〕〔富士〕廃止のこと [列車 / 鉄道 / 雑感]

既に報道等でご存じの方も多いだろうが、この 3 月のダイヤ改訂で、遂に〔銀河〕(東京〜大阪)が廃止になる。そのほか、同日付で〔あかつき〕(京都〜長崎)と〔なは〕(京都〜熊本)も廃止、現在 2 往復運転されている〔日本海〕(大阪〜青森)と〔北斗星〕(上野〜札幌)は 1 往復となる。さらに、asahi.com のスクープによれば、来年春には〔はやぶさ〕(東京〜熊本)と〔富士〕(東京〜熊本)も廃止することで関係各社が合意しているという。この時点で、東京口と九州から「ブルートレイン」は完全に姿を消すことになる。廃止の理由は、〔北斗星〕を除いて毎度お馴染の「利用者減少」だ(〔北斗星〕については、北海道新幹線建設に関連する「青函トンネル工事の作業間合い確保」であり、利用減を理由とはしていない。実際いつもそれなりに混んでるし)。

残る列車に関しても「整備新幹線の延伸時に見直す」という方針らしい。東北新幹線が八戸へ延伸した際に「新幹線への転移を促進するため」として〔はくつる〕(上野〜青森)が廃止されたことから類推すれば、東北新幹線の新青森延伸時に〔あけぼの〕(上野〜青森)が、北陸新幹線の金沢延伸時に〔北陸〕(上野〜金沢)が、北海道新幹線の札幌延伸時(もしかすると新函館延伸時)に〔北斗星〕が、それぞれ廃止される可能性はかなり高いと思う。

‥‥‥え? 「北海道新幹線の建設は新函館までしか決定されていない」って? 「新函館」駅の予定地は現在の函館本線渡島大野駅だ。あんな、函館駅から普通列車で 30 分近くかかって、しかも近隣に access 設備を作る場所もろくにないようなところに作った駅が、まともに terminal として機能すると本気で考えている人は、おそらく誰もいない。新函館までの着工決定時に自民党の誰かが「新函館から函館空港を経由して道内各地へ飛行機で飛べば、本州方面から道内各地への access 性が向上し、函館も北海道の玄関口として発展できる」などと妄言(もしくは虚言)を垂れ流していたが、おそらく本人も本気でそんなことを考えてはいないだろう(渡島大野方面と函館空港との間にはまともな道がなく、唯一の動線である産業道路は早朝・深夜を除いてだいたい渋滞しているので、おそらく bus 連絡で 40 分から 1 時間以上はかかるだろうから、極めて非現実的。どう考えても、出発地近辺から道内各地へ直接飛んだほうが早いのは明らかだ。しかも、産業道路附近を経由する動線は市街地北辺を抜けていくかたちになるので、市街中心部に旅客が移動する積極的理由はない)。そうなると、「新函館まででは中途半端だ。やはり札幌まで作らなくては」という話になるのは火を見るより明らかで、つまり新函館延伸の決定は札幌までの延伸の地ならしに過ぎない。‥‥‥函館〜札幌間(山線経由)が 290km 弱、東京〜新青森間は開業と同時に 320km/h 運転を行なって最速で 3 時間 10 分程度とか言っているらしいので、津軽海峡の前後を含めて東京〜札幌間の所要時間は 6〜7 時間程度だろうか。一体どのくらいの需要があるのかわからんけど。新千歳空港は非常に access のいい空港だし、大多数の旅客は飛行機に乗ると思うけどね?(東北〜札幌間の移動なら、東北各地の空港の状況から言って新幹線の方が便利だが、仙台については先日 access 鉄道が開業して利便性が格段に向上したし、それ以外の各地からの需要の絶対量は首都圏や仙台周辺からのそれに較べれば微々たるものだろう。)

閑話休題。東京口の客車寝台列車は「もってあと数年」と思っていたので、今回の改訂は「遂に来たか」という感じで、驚きはしなかった。「長くない」と思っていたのにはいくつかの根拠がある。

  • まず、「JR 各社は客車列車をなくしたくてなくしたくてしょうがない」という事実がある。国鉄時代は全国各地に結構な本数の寝台列車が運転されていたので、北海道などの極寒地を除けば車輛の使い回しがある程度可能で、機関車も貨物とある程度共用化できるため、極端な「運用上の無駄」はなかった。しかし、分割民営化の結果、ごく一部(「走ルンです」に置き換えるまでの東海道線東京口など)を除いては会社毎に運用が硬直化し、「時代の要請に従って」各社がまちまちに改造を施したこともあり、それぞれの列車に専用の編成を割り当てる状況となった(東日本などは、同じ社内ですら列車ごとに異なる改造を行なって流用が効かなくなっている)。さらに、貨物と経営を分離したため、臨時の貸し借り(専ら貨物が供給する側だが)を除いてはそれぞれが自前で機関車を抱えることにもなっている。もともと、客車列車には「機関車を付け替えれば、基本的に全国どこへでも走っていくことができる」という運用上の merit があったのだが、分割民営化とその後の施策によってその最大の利点を潰された格好となったことになる。そのため、「機関車+専用客車編成」という構成そのものが「使い回しの効かないお荷物」扱いされるようになってしまった。さらに、電車や気動車のお手軽さと較べて機関車の運転には特有の技術が要求されるため、専門の人員を抱えなければならないという事情もある。
  • 前項とも関連するが、「JR 各社は長距離列車をなくしたくてなくしたくて仕方ない」という理由もある。分割民営化の結果、ある程度長距離を走る列車は複数の会社を跨って走ることになる。寝台列車は本質的にある程度長い距離の移動に効果を発揮するので、この条件に引っ掛かりやすい。複数の会社に跨って走るとどういう問題が発生するかと言えば、
    1. 一部の線区を除き、分割民営化後は基本的に各会社境界で運転系統を分断するようになった(数少ない例外もここ数年でほとんど姿を消している)。複数の会社に跨る列車は関係会社間で調整が必要となるので、「この列車のためだけに調整をするのは面倒だ」という忌避感が作用する。
    2. 会社ごとに受け持ちを明確化したことにより、他社乗り入れ区間については「借り貸し」が発生することになり*1、収入配分や cost 負担などの処理が面倒。「関係各社間での共同運行」にすれば cost 清算の問題は減少するが、〔北斗星〕の臨時便(東日本と北海道が 1 編成ずつ担当)を除いてそのような関係にある列車はない*2し、収入配分の問題は解決できない。
    といった点が挙げられる。さらに、これらの点とも関係し、各会社は管轄区域内で完結する輸送に注力するようになり、特に需要の大きい都市では混雑時間帯に列車密度を限界まで上げつつある(運転系統の複雑化と相まって破綻寸前の区間もある)。「混雑する時間帯」というのは長距離列車にとっても格好の target であるはずなのだが、電車による運転が増えている昨今、それよりも足の遅い客車列車そのものが嫌われている。また、長距離を走る以上、途中で発生した遅延をその先も引き摺ることになり、大都市部のラッシュ時間帯にぶつかってしまうと運転整理が面倒になる。
  • さらに、東京口には固有の事情がある。品川駅の北側には 20ha に及ぶ広大な東京機関区と品川客車区の敷地が広がっている。既に機関区と客車区の機能は田端と尾久にそれぞれ移管され、現在は日常の保守のほか日中使用しない編成(寝台列車の他、ラッシュ時間帯のみに使用する編成や、予備の編成など)の留置線として利用されているが(田町車輛センター)、東日本はこの敷地を再開発して金に換える計画を持っている。この計画は本来「東北縦貫線」計画(東北新幹線の東京乗り入れによって消滅した東京〜上野間の列車線を復活させるもの)と set だったもので、留置線としての機能も一部尾久に移転するなどして再開発用地を捻出するが、この際神田駅の前後に 33‰ の勾配(これは 1 輛の機関車のみに動力を依存する客車列車にとってはかなりの急勾配となる)が生じることと、東京〜神田間で機廻し*3ができなくなることなどから、この勾配を登れない客車列車は東北縦貫線工事が始まるまでに廃止されるだろう、と言われていた。実際には一昨年の秋頃から〔銀河〕については機廻しの方法を変えた*4ので、もしかすると存置することにしたのかなと思ったのだが、やはり廃止の方針は覆らなかったことになる。

こういった事情のためか、寝台列車(というか鉄道旅行そのもの)の需要が全体的に減少する中、目玉になると判断された列車以外はまともにテコ入れされることなく放置され、そうこうするうちに「少客のため」という口実で続々と廃止されるようになってしまった。体のいい「安楽死」と言っていい。

一般的には「時代の流れ」と一蹴する傾向が強いが、近年の動向から言えば、その見方はやや的外れだ。ここ数年、夜行列車については需要に変化が見られ、それまでに較べて「鉄道旅行」に対する関心が高まってきていたからだ。実際に、閑散時の〔銀河〕の客層は大きく変化しており、以前は背広族だらけだったものが、最近は若者を多く見るようになっていた。〔北斗星〕などでは中高年の group や夫婦連れ、または家族連れを多く見るようになってきた。従来鉄道にはほとんど興味を示さなかったような人達からも、「汽車旅」に対する憧憬のようなものを聞くことが多くなってきたように思う。中高年に関しては「定年を向かえて時間に余裕ができ、それまでできなかった鉄道旅行が可能になった」せいかもしれないし、家族連れの場合は「かつてブルトレブームを経験してきた世代が親となり、子供を連れて旅行をするようになった」のかもしれない。しかし、若者層に関しては、青春 18 きっぷの存在で鉄道旅行に馴染んできた世代が、ちょっと余裕ができたために寝台列車に乗るようになってきたのかもしれない。調査をしたわけではないのであくまで憶測に過ぎないのだが、潜在需要は結構あるように感じている。「時代の流れ」から見れば、むしろ再燃の気配すらあるといっていい状況だったのだ。

現に、〔北斗星〕は一時期の「ブーム」ほどではないがいまだに一定の人気を保っているし、〔トワイライトエクスプレス〕は依然としてかなりの人気を誇っている。本来ならチャンス到来と言ったところなのだが、それを生かすどころか、むしろ着々と潰していっている。それはやはり、「新幹線などの客単価も輸送密度も高い列車に較べて手間がかかる割に儲からない寝台列車」に対する JR 各社のやる気のなさの現われとしか思えない。

たとえば、〔銀河〕などは B 寝台なら実は新幹線と料金面で極端な差はなく(〔のぞみ〕の通常期指定席と較べてきっかり 2,000 円しか違わない)、運転時間帯も非常にいい*5うえ、大阪発着なので「新大阪で乗り換えて大阪に出る」という手間が不要でもあり、やりようによってはどうにでもなる列車のはずなのだ。実際に、金曜発や連休中は結構埋まっているし、盆や年末年始などは満席になっている。他の日は確かにがらがらだが(特に B 寝台は)、そもそも、〔銀河〕に関しては列車自体の PR がかなり不足しているという実態がある。

他の列車も一様に連休や盆、年末年始などはかなり混み合う。「それ以外の時期ががらがらなのが気にくわない」というのであれば、「閑散期に限ってゴロンとシート*6車を設定する」とか、「繁忙期以外は B 寝台の上段をゴロンとシート扱いにする」など、既に他の列車で実績のあるサービスを拡大することは容易にできるはずなのだ。「時期によって大きく料金を変える」というサービスにはあまり例がないが、閑散期・通常期・繁忙期と区別して料金を変えること自体は昼行列車の指定席で既に行なっているわけだし(ちなみに寝台列車にはこのような区別はない)、札幌〜釧路間の〔まりも〕は「冬季は B 寝台料金を 3,000 円にする」という設定を行なって好評である*7事実もあり、決して不可能ではないはずだ(〔カシオペア〕で行なっているように、割安の企画きっぷとして扱ってもいい)。リネンがなくても東京〜大阪間を運賃+ 1,770 円で横になって寝て行かれるのなら、かなり使いでがあるのではないか?

また、設備面でも問題がある。「陳腐化している」「時代遅れ」などというのは「廃止は当然」とする立場の人からよく言われることだが、単純にそういう問題ではない。逆に「現行でも十分に受け入れられている」ものがあるのに、それを生かしきれていない面もあるのだ。また〔銀河〕の例になってしまって恐縮だが、この列車は割と特殊で、普段は列車の中でももっとも単価の高い「A 寝台の下段」(急行料金と合わせて 11,760 円)から埋まっていく。まず A 寝台の下段が埋まり、次に A 寝台の上段(同 10,710 円)が埋まる。そして、B 寝台(同 7,560 円/上・下段同額)はがらがらだ。こうなるには理由があって、A 寝台の下段は寝台の幅も天井の高さもゆったりしていて、さらに寝台内に荷物置き場もあるため、個室ではないことによる安さ*8もあり、cost との balance が非常にいい。だから、数年前まで A 寝台車はだいたいいつ乗っても出張の背広族で埋まっていたし(特に平日)、景気が悪くなったここ数年でも平日ですらがらがらということはあまりなかった。これだけ好評なのだから、B 寝台車を何輛か減らしても A 寝台車を増結すればいいのにと思うのだが、そうまでして収益を上げようという気はないらしい*9のだ。その一方、個室の「ソロ」と料金が変わらないために逆に割高感があって埋まりにくい解放 B 寝台については〔まりも〕を除いて料金面で何の手当ても行なわれていないが、これも〔まりも〕の例を見れば、ある程度の値下げ(例えば上段 4,000 円/下段 5,000 円とか)をすれば状況は当然変わるだろう。決して「設備そのものが嫌われている」のではなく、「料金負担に見合わない」ことが問題なのだ。〔トワイライトエクスプレス〕(全車が〔銀河〕などと同じ世代の車輛を改造したもの)が連日大賑いなのに対し、鳴り物入りで登場した豪華列車〔カシオペア〕(これは今のところ JR が完全に新製した唯一の客車だ)が連日空気を運んでいる(あまりにも空気と仲よしなので、一時期「2 週間前になってもカシオペアツインに空きがある場合」には本来の 1 室料金の半額+ 3,000 円弱で 1 人利用が可能な「カシオペアシングルユース券」なるきっぷが発売されていたほど)。

‥‥‥とまあ、こんなことはわざわざ部外者の私が書かなくても現場の人間なら解っているはずなので、やっぱり「やる気がないのでわざと放置している」ように思えてならない。「寝台がなくなったら新幹線に乗れ。それが嫌なら鉄道に乗ってもらわなくて結構」ということだろう。まあ、東は首都圏の通勤需要で全管内の赤字を補って余りあるほど金がわいてくるし(国鉄時代は全国の営業赤字を埋められるほどだったし、だからガーラ湯沢で赤字を垂れ流しても痛くも痒くもない)、海はやっぱり東海道新幹線で湯水のように金が沸いてくるので在来線にはやる気なし。一方西は元々民鉄との競争が激しいので「ドル箱」の京阪神圏もそれほど余裕がなく、乾燥地帯から多雨地帯から豪雪地帯までローカル線を抱えている上に山陽新幹線は決して需要が多くない(唯一需要の大きい小倉〜博多間は九州と熾烈な争いを繰り広げている)し、そこへもってきて阪神・淡路大震災の復旧費用や福知山線事故の処理費用(後者は自業自得だが)の負担もあって財政が厳しい(ちなみに、今回の廃止で〔銀河〕〔あかつき〕〔日本海〕(西日本車)がなくなり、西日本持ちの客車寝台列車は〔トワイライトエクスプレス〕のみとなる)。低金利による経営安定基金の運用利益減や少子・高齢化による人口減少、大都市への人口流出によって九州と北海道がじり貧なのは言うまでもない(同じく今回の廃止で〔なは〕が、来年〔はやぶさ〕〔富士〕が廃止されると、九州持ちの寝台列車は消滅する)。

営利企業である以上利益を追求するのはある意味当然なんだが、それは本来「公共交通」とは相容れない方向性だ。もっとも、「交通の足を国の責任で担保する必要はない」という選択をしたのは国民なのだし、それによって営利を追求することに対し JR 各社はお墨付きを与えられたわけなのだから、移動手段の多様性が切り捨てられていくのはやはり当然なのだろう。

〔銀河〕に関して言えば、前述の機廻し方法の変更に伴って、発車前の在線時間が 10 分から 37 分に拡大され、ゆったりと乗車することができるようになった(しかも A 寝台はかなり早く改札を開始するため発車前から寝ることもできる)、接客面で大幅な改善となり、〔銀河〕に対するやる気を垣間見たような気がしたのだが、気のせいだったらしい‥‥‥。〔銀河〕がなくなったあと、大阪方面にはどうやっていったらいいんだろう。〔ML ながら〕は腰がもたないし(「普通列車乗継」は論外)、東海道新幹線なんぞに乗る気はさらさらないので、飛行機かなぁ。早割とか使えば新幹線より安いしな(爆)。空港に行くのと荷物の扱いが面倒くさいけど。さもなければ、新潟から〔きたぐに〕だろうか。いずれにせよ、西のほうに行く機会が激減することだけは間違いない。「夏・長崎から」がなくなったあとだったのは、果たしてよかったのか悪かったのか。

*1: 例えば〔銀河〕の場合、機関車は東日本(田端)、客車は西日本(宮原)が担当している。また、車掌は全区間西日本が担当し、機関士は各会社境界(熱海と米原)でそれぞれの社員へ乗り換えている。〔はやぶさ・富士〕の場合、客車は九州(熊本)、機関車は西日本(下関/東京〜下関)と九州(門司/下関以西)が受け持ち、車掌は西日本と九州が下関で乗り換え、機関士は東日本・東海・西日本・九州が各会社境界で乗り換える(各社内でも乗務区間などの関係で乗り換える場所がある)。余談だが、小田原に停まらない〔はやぶさ・富士〕が熱海に停車するのは、旅客需要によるものではなく、機関士の乗り換えが必要だから。

*2: 〔サンライズ瀬戸・出雲〕は西日本と東海それぞれが車輛を保有し、運用上も両者の区別が全くないのだが、これは財政的に厳しい西日本が東海に泣き付いて一部の車輛の建造を請け負ってもらったという事情が背景にあるらしく(そもそも管内の通過時間帯が深夜〜未明となる東海が積極的に関与しなければならない理由は本来ない)、また片方の拠点であるはずの首都圏を抱える東日本は一方的に乗り入れを受け入れる立場となっている。

*3: 機関車を一旦切り放し、編成の逆側に連結し直すこと。東京駅から西へ向かう寝台列車は、品川の車輛基地から出てきたあと、また品川方面へ走っていくことになるが、一般に機関車は必ず編成の先頭に連結されるため、このような扱いが必要になる。ちなみに、上野駅では機廻しのための配線がないことと線路に余裕があることから、こういったことをせずに機関車で列車を後押しする「推進運転」が行なわれている。

*4: かつては品川から出てきてから一旦東京駅のホームを素通りして神田駅手前まで行き、そこで機廻しをした上で、発車の 10 分ほど前に改めて神田方面から 9 番線に入線していた。これが一昨年の改訂で変更となり、現在は発車の 37 分前に品川方から 10 番線に直接据え付け、乗車を開始したあとに 9 番線を使って機廻しを行なうようになっている。前者はホームの専有が最小限になる反面、発車前が非常に慌ただしかったのだが、現在はゆっくりと乗車することができる。

*5: 下りは東京 2300 時発/大阪 0718 時着、上りは発着ともそれぞれ 30 分ほど早い。おおよそ「最終の新幹線よりあとに出て、始発の新幹線より先に着く」という時間帯だ。実際、下り列車では新大阪で降りて下りの〔のぞみ〕(東京発の始発より 1 本早い列車に乗れる)や関空行きの特急に乗り換える利用者も結構いるようだ。横浜や大船にも停車するため、これらの駅からは新幹線に乗るより便利だという merit もあるだろう。

*6: シーツや毛布、枕といったリネン類が提供されない代わりに、指定席特急料金で乗れるというサービス。〔あかつき〕やかつての〔なは〕にあった「レガートシート」とは異なり、通常の寝台車を使用するため、横になることができる。〔あけぼの〕のほか、廃止された〔はくつる〕でも実施され、好評を博している(これらの列車では通年実施)。また、〔サンライズ瀬戸・出雲〕には同じく指定席特急料金で利用できる「のびのび座席」(こちらは毛布のみ提供・通年)があり、常にほぼ満席。

*7: 現在は列車自体が夏期中心の多客期のみ運転となっているが、制度は存続しており、該当期間(始発駅発が 11/1〜5/31)に運転されればもちろん適用される。

*8: 1 人用 A 個室寝台はもっとも安い「シングルデラックス」でも 14,700 円(寝台料金のみ)。〔銀河〕や〔日本海 2・3〕に使われている A 寝台は個室ではなく通常の B 寝台と同様に curtain で仕切られたもの(「解放寝台」と呼ばれる)なので、料金は高い方の下段でも 10,500 円(同)と、2/3 程度で済む。ちなみに、B 寝台の場合、 1 人用個室でもっとも単価の安い「ソロ」「デュエット」と解放 B 寝台(上・下段)はいずれも同額の 6,300 円(同)で、こちらは解放寝台に乗る価格的 merit はない。

*9: かつて国鉄時代末期の寝台列車は「A 寝台車 0〜1 輛+ B 寝台車」という編成が一般的だったが、「編成中に A 寝台車はあっても 1 輛」という原則は〔北斗星〕の登場と同時に崩れたわけだし(〔カシオペア〕に至っては全車が 2 人用 A 個室だ)、昔は A 寝台が 2 輛以上繋がった列車もあったようなので、必ずしもその原則に拘る理由はない。また、わざわざ A 寝台車を建造するのは金がかかるが、一時期 JR 東日本は〔日本海 2・3〕用の 3 輛のほか全く使っていない解放 A 寝台車を 3 輛持っていたので、それを買い取ることも可能だったはずだ。


列車廃止と言えば [雑感]

列車の廃止となると、つきものなのが「葬式鉄」の跳梁跋扈。廃止直前の列車や路線にどこからともなく沸いてきて傍若無人の限りを尽くすハイエナ共だ。

先日の 1/12〜13 に、大阪方面の人達と毎年恒例の余部カニツアーに参加。土曜の朝大阪駅に集合し、〔はまかぜ 1〕号で一路但馬へ向かって豊岡から bus で出石へ。名物の皿蕎麦を堪能したあと、再び豊岡へ出て、城崎温泉へ。一っ風呂浴びたあとまた余部へ移動し、お馴染の川戸屋さんでカニ三昧。翌日宿を出て湯村温泉へ向かって一っ風呂浴び、浜坂駅から〔はまかぜ 4〕号で大阪へ戻り、晩飯のあと解散。いつもなら〔きたぐに〕で帰るところなのだが、今回はせっかくなので〔銀河〕で帰ってきた。実は上り〔銀河〕に乗るのは今回で 2 度目という衝撃の事実。下り〔銀河〕には数えきれないほど乗っているのに上りにほとんど乗っていないのは、当初は〔ちくま〕に、〔ちくま〕が電車化(同時に寝台が廃止)された後は〔きたぐに〕に乗ってしまっていたから。〔銀河〕と〔きたぐに〕では大阪場面の発車時刻が 1 時間違うので、つい遅いほうの〔きたぐに〕を選択していたのだ。もっとも、今回に関して言えば旅行中に体調を崩してしまったため(初日に三宮で喰った神戸牛がよくなかったらしいよ? 脂っこすぎて‥‥‥)、〔銀河〕で直接帰ってくることにしていたのは大正解だったのだが。

で、問題は行きだった。集合は土曜の 9 時頃なので、いつもなら金曜発の〔銀河〕で行くところ。ところが、発売日に叩いてもらったところ、何と A 寝台が瞬殺。いくら連休前の金曜とはいっても、こんなことはこれまでなかった。前日の木曜を叩いてもらったら発売の翌日にも関わらずその時点ではあまり売れていなかったので、木曜発に変更して難を逃れたのだが、何やら悪い予感がひしひしと‥‥‥。

そして木曜夜。入線直後あたりに東京駅へ着いてみれば、‥‥‥それっぽいのがうようよしている。品川方のホーム端などは鈴生りだ。そして A 寝台に乗り込むと、喫煙室にはヲタがごちゃっと集まっていて、あまつさえ列車無線をハンディーで垂れ流している馬鹿までいる(このテの輩はなぜか必ずいる。もっとも、車掌室の真ん前なのでさすがに止めさせられたようだが‥‥‥)。そして、遅くまで車内をどかどか歩きまわって写真を撮りまくる連中が発生(このテの馬鹿も結構いて、〔さくら〕廃止直前の時期にはわざわざ「車内を歩きまわっての写真撮影は他のお客様のご迷惑になりますのでおやめ下さい」と車内放送をする事態を引き起こしていた)。さらに、これまたよくいる「相手もいないのに一人で喋っている(検閲削除)」もいる。よりにもよって真上の寝台内でこれをやられて、鬱陶しいことこの上ない。そして、翌朝は勝手に寝台を解体して悦に入っている馬鹿もいる(当然、まだ寝ている人がいる時間帯にガタガタと大きな音を立ててだ)。恐れていた通り、既に葬式鉄による蹂躙が始まっていた。廃止まで 2 ヶ月以上あるというのに‥‥‥。

さらに日曜夜。発車の 7 分前に改札を通ってホームに上がってみたら、ちょうど据え付けた直後。そして、発車 5 分前に扉が開いて乗車開始。自分の寝台に荷物を置き、後ろから来る人が途切れたので「今のうちにホームへ降りて飲み物を買っておこう」と思って振り返ると‥‥‥道理で人が来ないわけだ。なんと、A 寝台車の客室に入ってすぐの通路に三脚を立てて寝台の写真を撮っている(検閲削除)がいる。ただでさえ発車まで 5 分しかないのに、何を考えているのかさっぱり解らない。そして、ここでもやっぱり夜中までどかどかと歩きまわって写真を撮る馬鹿共が。かつて「名士列車」と言われ、最近でもビジネスマンから家族連れまでなぜか一般に乗車マナーが極めて良く(ただし A 寝台限定)、淡々と深夜の東海道筋をひた走っていた〔銀河〕の姿は、もう失われていた‥‥‥。

そして、これまたもはや恒例となってしまった「廃止間近の列車の指定券をヤフオクで売る馬鹿」も発生している。毎度毎度同じことを繰り返している常習者だ。有価証券*10はヤフオクのガイドラインにおける出品禁止物に当たるのだが、こういった違反に対するヤフオクの動きは非常に鈍いので(どんな商品であろうが、取引が成立すればヤフオクには出品手数料が入る)、また今回も大量に出品される恐れが。

*10: 商法における「狭義の有価証券」に乗車券類は含まれないのだが、社会通念上は(非常に大雑把な言い方をすれば)「財産権を表章する証券一般」を指すとされ、鉄道の乗車券はその代表的なものとされている。ヤフオクの出品禁止物の規定の一つには単に「有価証券」とあり、どちらの範囲を示すものかは一切書かれていないのだが、「社会通念上の有価証券」を指すと考えるのが妥当だろう。


むしゃくしゃしていたのでやった [日常 / その他]

先日のこと。1 月末までの作業目標を 1 週間ほど早く達成したので、検証作業を進めていた。で、いい機会だからと土日に出掛けたりしようと思っていたのだが、また体調を崩して微妙に便器とお友だち風味になってしまい(上げたり下したり)、出るに出られなくなってしまった。

実は、上記の カニ地獄 カニ三昧後の解散直前に、おさかなさんから「はるかっか(というかアイマスキャラ)でやってみた恋愛症候群」な動画↓があることを教えてもらっていた。おさかなさんはこれで友だちを 3 人まっさんに染めたそうだ。何と素晴らしい布教材料 :-D

もうひとつ教えてもらったのは、シラミ騒動↓。

こちらの関連でうろうろしていたところ、昨年暮れあたりから、「初音ミクにさだまさしの歌を歌わせてみた動画」が某ニコ動方面で微妙に盛り上がっていたことを今更ながら知る。なんとなく楽しそうなので、パラグアイ情勢が落ち着いたところを見計らってアキバに行き、初音ミクの体験版が付いた mook を買ってきた(爆)。で、ごそごそといじってみたり。

実際にいじってみると、かなりよくできていることが判った。結構面白い。で、気がついたことをメモを兼ねて書いておいてみる。

  • VOCALOID Editor で直接 melody を入力してもいいが、特に体験版では .vsq を保存できないので(WAV は保存できるので mix down は可能)、予めほかの DAW software で SMF を吐き、それを読み込ませて調整だけ VOCALOID2 Editor でやるのが吉。Mook で紹介されている Domino が軽くて良い。ただ、ピアノロールでの入力性は VOCALOID Editor のほうが微妙にいい。
  • VOCALOID Editor から歌わせたときの rendering は結構優秀で、シャクりたいところなどを「1/32〜1/16 音符とその残り」に音符を分割して入力しておくことで、parameter をあまり調整しなくてもそれなりに歌ってくれる(「ポルタメントの付加」は、指定するとなめらかになるところもあれば、指定によって逆に不安定になるため音符を分割しておいてポルタメント付加は指定しないほうが自然になることもある)。ただ、「わ」や「ら行」の音は滑舌がよすぎて不自然になることがあるので、DYN を下げて調整するといい。ちなみに、DYN を下げると、単に音量が下がるだけではなく、微妙に口籠もった発音になるような気がする。気のせいかもしれないが。
  • 「か行」「ら行」「さ行」などで子音がはっきりしない場合はアタックを上げると改善することがあるが、「か行」「が行」などの改善性は悪い。
  • OPE は「あ段」以外にはあまり顕著な効果を及ぼさない。
  • 「通常の会話をさせたい」というような場合を除き、音程を PIT/PBS でいじるのはあまり好ましくない。音程をシャクらせたい場合などは、ポルタメントの付加や音符分割法を利用したほうが自然な発音になることが多い。
  • BRE を上げると確かにハスキーっぽい声にはなるが、高調波が発生するなど破綻しやすくなる。GEN を持ち上げてやったほうがいい結果を得やすい。
  • 伴奏を MIDI で作成した場合、SMF から WAV へ変換する作業が発生する。Mook では iTunes を奨めているが、これがとんでもなく重い。さらに mix dowm 作業もしなければならないが、mook で奨めている Audacity は操作性が今一つのような気がする。そこで、Music Studio Producer を使ってみた。これを使うと、SMF から WAV への変換と down mix をこれだけで行なうことができ、それなりの作業性。本当はこの software だけでピアノロール入力も可能なんだが、Domino よりも重くてやや不安定な上、Domino 以上に各種操作に強い癖があるので(戸惑うことも多々ある)、私はそこまでしようと思わない。ちなみに、VOCALOID Editor から出力させた WAV と Music Studio Producer で SMF から生成した WAV をそのまま組み合わせるとなぜか伴奏が 1/64 音符 3 つ分遅れるので(recoding 時の内部遅延か?)、VOCALOID Editor からの WAV 出力時に start maker を 1 小節の頭から 1/64 音符 3 つ分ずれた位置に設定するか、または Music Studio Producer で「オーディオエントリー」から「オーディオトラック」へ貼り付けるときに頭をずらすとよい。
  • Windows 標準の MIDI 音源はかなり貧弱だが、S-YXG50 を install することでかなり改善できる。ちなみに、install 方法はこちら の page で紹介されているが、いくつか注意点がある。
    • 一度体験版を install することを奨めているが、入手先として紹介されている OpenDrivers の site から link が張られている maker site の該当 page は既に存在しないので、Opendrivers.com に mirror されたものを download する必要がある。
    • 体験版を install する前に一旦正規版を install してしまうと、仮に Control Panel から driver を uninstall しても「既に driver が install されているため install できない」として error になってしまう。registory ごと install 前の状態に復元しないと駄目らしいので、体験版を install するつもりがあるなら絶対に Microfost Update から download した正規版を install してはいけない。

そんなこんなで、とりあえず 2 曲ほど歌わせてみた(「ぢゃすらっくのほうから来ましたー」攻撃が怖いので公開はしません)。何とか聞ける程度にはなったが、何せ試用版を使ってるもんだから、いくら parameter を追い込んでも一度 VOCALOID Editor を終了させてしまうとそれらはきれいさっぱり失われてしまうので、一抹の虚しさが付きまとう。今はちょっとだけ後悔している(爆)。

ところで、この試用版付の mook、なんだかヤフオクですごい値がついてたらしいね? 確かに版元では 3 日で在庫切れになったらしいけど、たしか年が明けてもアニメイトにタワーがあったと思うし、私が買ってきた 1/24 頃でもまだめろんな本屋には山積みだったよ(さすがにアニメイトのタワーは消えていた)。昨日の時点でも、さすがにタワーはなくなってたけどめろんな本屋には店頭在庫があったしねぇ。客先の友だちは「地方格差なんですよきっと」と言ってたが、そのせいでテンバイヤーに荒稼ぎされた人達は気の毒だなぁ‥‥‥。普通の本屋間だと取次店経由で在庫を探したりする case もないではないらしいが、mook だし、そもそも駄目な本屋とかだと買い取りだったりする可能性もあるので、こんなことになってるのかしらん。まあ mook の内容自体参考にはなるんだけど、これに何千円も出すくらいなら最初から正規版を買ったほうがいいと思うよ‥‥‥。


初音ミクを VSTi として使ってみる話(Realtime 編) [その他]

さて、「アカペラで独唱させる」といった場合を除き、大抵は何らかの方法で伴奏と mix することになる。個別に WAV を出力して mixing する場合以外は、当然両者の同期を取って再生する必要があるのだが、Mook や DTM MAGAZINE などの記事は ReWire で同期を取るものばかり。試用版でもちゃんと VSTi 用の DLL は install されるのに、VST での制御があまり取り上げられないのはなぜか。特に、Realtime VSTi を使えば data は全て DAW software 側で握ることになるので、data を保存できない試用版でも安心して利用できるはずだ(まあ、他の software で作った SMF を読み込ませれば同じことなんだけど‥‥‥)。

そこで、Domino の site から link されている「初心者になるための耳コピMIDI講座」に VOCALOID2 を VSTi として制御する方法が紹介されていたので、早速試してみた。その結果、次のようなことが解った。まずは Realtime 編。

Realtime VSTi を使って声を出させることは確かに可能。しかも、設定さえ終わってしまえば、かなり簡単に実行できる(曲の先頭に「歌詞を先頭に」event を入力しておけば、再生を途中で止めた場合などでも曲の先頭から再生させた場合に歌詞の位置を自動で reset することもできる)。

ただ、VOCALOID Editor を使用して rendering させた場合に「よしなに」行なってくれている処理が全く行なわれないので、発声はかなり不自然。しかも、default で発声遅延が 1 秒あるので伴奏とはずれるし、この delay を短くするとそもそも何にも喋らなくなってしまったりする。

さらに(これは試用版固有の制約かもしれないが)入力しておける歌詞の長さには結構厳しい制約があるので(さだまさしのとある曲の場合は 1 番全部+数文字程度)、普通の曲を丸々 1 曲歌わせることは難しいのではないか。

結論としては、Realtime VSTi を使って伴奏に合わせて歌わせる方法は実用にはならない。ただ、note 入力時の発声 check には十分使える。


初音ミクを VSTi として使ってみる話(ほんとの VSTi 編) [その他]

では、VSTi として演奏させる方法はどうか。

実は市販の DAW とは(ROLAND 製など多くの製品で)VST で繋げられない場合があり*11、その理由として「VOCALOID が扱う MIDI data はかなり特殊である」ことが挙げられている。Domino の場合は上記 site の作者である逃亡者氏が作成した音源定義 file が存在するので出力自体は割と簡単にできるのだが、その data を作る方法が「一旦 Realtime VSTi や他の一般的な音源を使って medoly line を入力し、それを一音ずつ手作業で VSTi 用 event に置き換えていく」というものなので、かなり骨だ。

幸い、SMF と text 形式を相互変換する script を公開してくれている方があり、これの text format file に対して VOCALOID2 の note 情報への変換処理を自動で行なう script をでっち上げることができた(歌詞の埋め込み機能はまだ作っていない)。これによって手動でちまちま変換を行なった結果と同じ SMF を一発変換で作ることができるようにはなったのだが、これを再度 Domino に読み込ませると、困ったことが起きる。

VOCALOID の MIDI data は、一つの処理単位を複数の Control Change(NPRN および data)を組み合わせることで構成されている。Domino でこれを編集するときには音源定義 file によってこの処理単位ごとにまとめて表示してくれているので非常に判りやすいのだが、一旦 SMF として出力するとそういった「まとめて表示するための情報」が失われてしまい、再度 SMF を読み込ませたときには単なる「Control Change の固まり」になってしまい、可読性がかなり落ちてしまうのだ。もちろん音源定義 file と首っ引きで解読することは可能なのだが、そんなことをするくらいなら Domino 上だけで手作業でちまちまと作業しているほうがよほどマシかもしれない、と思わせるほど面倒くさい。

そんなわけで、この方法も挫折風味(歌詞を埋め込む script を作らずに放ってあるのもそれが原因)。だもんで、VSTi として歌わせた場合と VOCALOID Editor から歌わせた場合とでどのくらい quality が異なるのかも未検証。

*11: むしろ繋がるのは YAMAHA 扱いの CUBASE のみなのかも?


初音ミクを VSTi として使ってみる話(結論) [その他]

そんなわけで、一言で言えば、「紹介されないにはそれなりの理由があるのね」、というところ。うーん。せめて、Domino の data を何らかの text 形式で保存できるか、.dms file の format が判れば、それなりに解決できるんだけどなぁ‥‥‥。作者さんに振ってみるかなぁ‥‥‥?


付け足り: Music Studio Producer での down mix 手順 [その他]

自分でもすぐ忘れそうなので (__;、ごく大雑把に Music Studio Producer での down mix 手順やら注意点やらを書いておく。

  1. Track 等の選択
    選択したい行で左 click する。この際、click は「NO.」や「Tr.」など数字が表示されている欄で行なうべきである(これ以外の欄を click すると状態が変わったり edit 状態になったりなどの副作用が起こるため)。
    選択された行は左端の欄に mark が付く。
    削除などを含めて、操作の対象はとにかくこの「mark が付いている行」となる(mouse の button を click した位置とは関係がない)。
  2. WAV の読み込み
    Menu の「ファイル」→「WAV ファイルのインポート」を選ぶか、「オーディオエントリー」window の「WAV→WAF」button を押し、WAV file を選択する(Menu 下の icon でも読み込めるが、どれがどれだか判りにくい)。
    読み込まれた file は「オーディオエントリー」に登録されるので、その行を選択してから右 click menu の「コピー - オーディオエントリー」を選択し、「オーディオトラック」window に貼り付ける。
    貼り付け対象の track は、対象 track を選択した上で右 click menu から「トラックの新規作成」→「モノラル」または「ステレオ」などを選択する(「ステレオ」など複数の track を使用するものはそれらが一斉に作られ、連動することを示す情報が設定されて「Lnk」と表示される)。
    貼り付けにあたっては、対象 track を選択した上で、次の 2 つのいずれかを行なう。
    • Track の先頭から時間を送らせて貼り付ける場合: 「Vol」欄の右に表示されている部分を使って左 click で先頭位置を指定し(縦線が表示される)、右 click menu から「貼りつけ - オーディオタイム」または「挿入 - オーディオタイム」を選択する。
      先頭位置の指定単位は window の上の方に音符で表示されているので、これを変更するにはその音符の右の上下 button を押す。時間軸の表示単位は「小節(「Meas Beat Tick」button が押された状態)」、「時間(「Hour Minu Sec」button が押された状態)」、「なし(どちらの button も押されていない状態)」から選択できる。
    • Track の先頭から貼り付ける場合: 上記と同じ手順で Track の先頭から貼り付けるか、「Vol」欄から左の領域で右 click menu の「貼りつけ - オーディオトラック」を選択する。
    いずれの場合も、右 click した位置には関係なく、あくまでも「選択された track」に対して貼り付けや挿入処理が行なわれる点に注意(ここが直感的でないので慣れるまでは結構戸惑う)。
  3. SMF の読み込み
    Menu の「ファイル」→「SMF のインポート」を選ぶ(Menu 下の icon でも読み込めるが、どれがどれだか判りにくい)。読み込まれた data は「トラック」window に現われる。
  4. 音声や MIDI の再生
    Main window 左上の操作 panel で扱う。
    再生対象は操作 button の右方にある button を押して「MIDI」「MIDI+Audio」「Audio」のいずれかの mode を選ぶ。
    MIDI を含む mode を選択した場合、「トラック」window に存在する全ての track が対象になる(再生したくない track は、その行の「M」欄を click して「M」mark を付ける)。
    Audio を含む mode を選択した場合、「オーディオトラック」window のうち「P」欄に mark がある行が対象となる。
    「MIDI+Audio」mode ではこれら対象となる track 全てが再生される。
    再生音量の制御は、「オーディオトラック」については「オーディオミキサー」で、MIDI の「トラック」については Windows の「ボリュームコントロール」から「SW シンセサイザ」などを操作して行なう。
    「オーディオエントリー」に現われているものについては、window 内の再生 button を押すことで単体再生することも可能(この場合、拡大波形も同時に表示される)。
  5. MIDI から WAF(内部形式の WAV file)への変換 「オーディオトラックへの録音」という形をとる。
    録音対象の track は「オーディオエントリー」からの copy 時と同様に mono または stereo などのものを作成しておく。
    再生 mode を「MIDI」または「MIDI+Audio」に設定し、録音対象の track の「R」欄に mark を付けた状態で window 左上の操作 panel にある録音 button を押すと設定 window が開き、そこで設定を行なって実行することで録音できる。
    設定 window で「オートパンチアウトを行なう」に check を入れていない場合、手動で停止する必要があることに注意。
    また、録音音量は software 内で直接制御できず、Windows の「ボリュームコントロール」を用いて「SW シンセサイザ」(再生側)と「WAVE 出力ミックス」(録音側)の組み合わせで制御する。
    再生 mode が「MIDI+Audio」の場合、「オーディオトラック」の P mark が付いている track も同時に再生・録音されてしまうので注意。また、環境によってはオーディオトラックへの録音時に「MIDI」mode が選択できない(選択しておいても録音開始時に勝手に「MIDI+Audio」になってしまう)場合があるので、録音開始前に全ての track から P mark を消しておくのが望ましい。
    録音が完了すると、結果が WAF file として保存され、「オーディオエントリー」へ追加されるとともに「オーディオトラック」に表示される。
    なお、この処理は実際に再生を行なう関係で実時間がかかる。また、「Audio」を含む mode で録音中は、他の application を操作するなどで効果音や音声が出力されると、それも一緒に録音されてしまうので、注意。もちろん意図的にそうすることもできるし、mic 入力を mix することもできる。
  6. mix down
    やはり「オーディオトラックへの録音」の形をとる。
    録音対象の track は対象 track を選択した上で右 click menu から「トラックの新規作成」→「ステレオミックスダウン」など、「ミックスダウン」という名称が含まれるものを作成しておく(これらの track は作成時に自動的に「R」mark が付くので、不要であればすぐに mark を消すこと。
    録音の方法は「MIDI から WAF への変換」と同様で、再生時と同様に MIDI と Audio を同時再生すれば直接 mix down することもできるが、音量調節が直感的ではなく、やり直しに際しても毎回実時間がかかるため、MIDI を一旦 WAF に変換した上で Audio track のみで mix down するのを推奨(この場合の mixing level は「オーディオミキサー」のみで制御できる)。
    また、Audio track のみを用いて mixing を行なう場合(この時は再生 mode を「Audio」にする)、録音の設定画面で「オフラインミックス」を check すると、実際に audio 回路を通さず演算のみで mix down できるため、時間が大幅に短縮される(もちろん「オーディオミキサー」での設定も反映される)。
    録音が完了すると、やはり結果が WAF file として保存され、「オーディオエントリー」へ追加されるとともに「オーディオトラック」に表示される。
    また、「オフラインミックス」を使わずに録音している場合、他の application を操作するなどで効果音や音声が出力されると、それも一緒に録音されてしまうので注意。
  7. 再生や録音時に効果をかけたい場合
    「オーディオトラック」window で「EFF」button が押された状態で現われる「EFX1〜5」の欄で右 click し、menu から使いたい effectを選ぶ。
    一旦設定した効果は、その window を閉じても「オーディオトラック」window から削除しない限り設定は記憶される。記憶されている設定を調整したい場合は、該当 effect の上で右 click から「編集」を選ぶ(もう一度同じ effect を選ぶと、初期設定に戻った状態で設定 window が開かれる)。
  8. MIDI から変換した WAF や mix down の結果を WAV として出力したい場合
    「オーディオエントリー」window で出力対象の行を選択し、Menu の「ファイル」→「WAV ファイルのエクスポート」を選ぶか、「オーディオエントリー」window の「WAF→WAV」button を押し、file 名を指定する。
    Mix down や録音などを行なっただけでは WAV file は生成されないので、この処理は必ず必要になる。また、この処理は mix down の結果であるかどうかには関係しないため、例えば MIDI から変換した WAF をそのまま WAV として出力することもできる。
    Stereo などの WAV file を出力する場合、その channel 数分だけ WAF を指定する必要があることに注意(Stereo の場合は 2 つ)。
  9. 「オーディオトラック」に貼り付けられている音声を後ろや前にずらしたい場合
    ずらしたい音声 track を選択し、時間軸領域で左 drag によって位置と長さを指定して(その範囲が反転表示される)、右 click menu から「時間挿入 - オーディオタイム」または「時間削除 - オーディオタイム」を選ぶ。
    範囲選択時は表示されている全ての track が反転表示されるが、実際に処理されるのは「選択されている track」のみなので注意。
  10. 一旦貼り付けた WAF を「オーディオトラック」から削除したい場合
    貼り付け後に他の処理をしていなければ undo で解決できるが、外部から読み込んだ WAV を貼り付け直したい場合などは、「オーディオエントリー」から該当行を削除し、もう一度読み込み直すのが早い。「オーディオトラック」で「削除 - オーディオトラック」などを選ぶと、effect や pan、音量などの設定も一緒に削除されるので注意。
  11. 不要な WAF の蓄積に注意
    録音などでは、基本的に既存の WAF を黙って上書きすることはない。なので、既に WAF が割り当てられている「オーディオトラック」に対して録音を行なうと、新たな WAF が作られることになる。これらの一覧は「オーディオエントリー」に保持されているので、不要なものは随時削除する。ただし、右 click menu から「削除」を選択した場合、「オーディオエントリー」からは消えるが、file は消されずに残っている。File ごと消したい場合は、右 click menu の「完全削除」を使うか、「オーディオエントリー」window 内の「×」 button を使う。

他にもいろいろあるけど、だんだん manual(てゆーか tutorial)を書いてるのと変わらなくなってきたので、とりあえずこの辺りで。


さらに余談: 初音ミクと coupling する上で気になる DAW [その他]

それはそうと、市販の DAW の話。実際に試してないからあれなんだが、評判だけ聞いてると「MUSIC CREATOR 4」がかなりお値打ちらしい。実売価格は 7k 円前後なのに機能はかなり本格派で、VOCALOID との接続性もいいらしい。実際、Sofmap やらあまぞんやらでは初音ミクとの抱き合わせ販売もやっている。両方合わせて 2 万円強とは、いい時代になったもんだ‥‥‥ T_T



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この日記は、GNSを使用して作成されています。作製者の GORRY さんに感謝 m(__)m

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